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【クラス】 アーチャー 【真名】 エシディシ@ジョジョの奇妙な冒険 【パラメーター】 筋力B 耐久B 敏捷C 魔力D 幸運D 宝具B+ 【属性】 混沌・悪 【クラススキル】 対魔力:A+ 現代の魔術はおろか神代の魔術を用いても彼を傷つけるのはほぼ不可能である。 十万年以上の長きにわたり生きつづけ、積み上げたその神秘は破格のランクを誇る。 単独行動:B マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。 【保有スキル】 原初の一(偽):D 偽りのアルティメット・ワン、アルティメット・シイングに至る進化の過程。生まれついての吸血種が宝具による肉体改造で変異したたった4人の柱の闇の一族、その一人。 英霊の座においてもその4人しか持ちえないスキルであり、Dランクでも破格のもの。 本来の原初の一のように星のバックアップは受けられないが、関節を無視した柔軟な動き、卓越した身体能力、肉体の再生、全身の細胞からの捕食、他の生物との一体化など様々な能力を持つ。 とある二つの宝具を用いればこのスキルは最高ランクとなるが彼はそのうちのいずれも持ち合わせていない。 王佐の才:C+ 王たるものを支える才。 味方のカリスマを1ランク向上させ、また同ランク以下の反骨の相などカリスマを無効化するスキルを無効にする。 加えて王の目的や命令を達成するための情報収集や援護などにおいて有利な補正を得る。 令呪によるバックアップもより強力な効果が得られるが、逆に高い対魔力を保持するにも関わらず不本意な令呪による命令への抵抗力も低下する。 生前は仲間より先んじて赤石のありかを突き止め、またただ一人王たる者の味方をして同族を全滅させる援護を行うなどした。 またこのスキルを持つ者はマスターとの仲が険悪になりにくい。 ラーニング:A 僅かに会話を耳にしただけで異国言語を習得、一目見ただけで銃を分解、発達した文明にも瞬く間に馴染んで見せるなどを可能とする高度な学習能力と適応力。 見聞きした技能を学び取ることが可能。 特に彼は『孫子』などの戦術的駆け引きを貪欲に学ぶため、サーヴァントとなった今でも後述する2つのスキルのランクが戦闘を重ねるたび向上していく可能性がある。 詭道の所作:C+ 言動によって相手と自分の思考を誘導、操作し自分に有利な状況を作り出す。 心理を読み取り次の行動を図る洞察力、観察力、そして自身の精神状態を把握する冷静さが重要となる。 魔術ではなく精神的な干渉であり、精神耐性系のスキルで抵抗可能。 同様に他者からの精神干渉に対する抵抗力としても機能する。また泣き喚くことで冷静になり、より強力な精神干渉からも解き放たれることが可能。 陣地攻略:D 世界を回り、様々なものを見た知識に加え数多の実戦によって得た経験値。 工房などの攻略に有利な補正を得る。 針の敷き詰められた闘技場での巧みな立ち回りや、シェルターのような密閉空間から空気供給管を利用しての脱出なども可能。 【宝具】 『怪焔王の流法(モード・オブ・フレイム)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0~2 最大捕捉:2人 原初の一(偽)による肉体操作の極みにより彼らは固有の流法を持ち、エシディシのそれは熱を操る炎の流法である。 代謝による体温の上昇を利用し血液を500℃まで上昇させ放つことができる。 主に手や足の先端部分から血管針を出し放射する。 副次効果として温度の上昇を伴う為、冷気や気流の扱いを乱すことが可能。 『怪焔王大車獄の流法(モード・オブ・インフェルノ)』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:0~4 最大捕捉:10人 通常手足の先端からしか血管針を放たないのは精密動作が難しい箇所で自発的に裂傷を作るのが難しいためである。 逆に血管針を放てるならどこからでも血液の放射は可能である。 相手に追わされたダメージや自傷による傷からより広範囲に血管針および熱血を放つ。 受けた傷も肉体の一部とし、積み重ねたダメージも能力の一環として扱う勝利への執念の具現化といえる。 『肉体は死すとも執念は死せず(スティル・アライブ・ビーイング)』 ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 霊格が破壊されても脳と血管は消失せずに現界し続ける。この状態では単独行動のランクが2ランク向上する。 思考能力は残り、寄生からの洗脳および『怪焔王の流法』の使用も可能。 『勝者の口上に機先を制せ(カウンター・ワード・ウィン)』 ランク:E- 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:1人 相手がする発言を先に言い当てる事で、そのターンの相手の直前の行動をキャンセルする。 結果勝利の確信を得ている時程、敵は大きな隙を晒す事となる。 ……実際は虚を突かれて唖然としているだけであり、本来なら宝具と呼ぶのもおこがましい詐術である。 にもかかわらずこれが宝具として表れているのは、生涯最期の好敵手たる波紋戦士からラーニングした闘争の証であり、彼がこれの大元を宝具として持つため。 加えて一瞬とは言え完全に彼の十八番で上回ったただ一人の存在がエシディシであると言う逸話も大きい。 【weapon】 『死の結婚指輪(ウェディング・リング)』 リングの中に毒薬がしこんであり、スキルによる肉体の一体化を応用して敵体内に埋め込む。 一定時間がたつか無理に取り出そうとすると殻が破れ毒が回って死に至る。解毒剤はエシディシの鼻のピアスの中に仕込まれており、闘って奪い取るしかない。 まさに死が二人を別つまでのウェディングリング。 魔力による生成が可能であり、籠めた魔力量により殻が破れるまでの制限時間を調節できるようになっている。 【人物背景】 はるか昔、地球に出現した太陽光に当たると消滅してしまう生き物の一族、その一人。 その一族の多くは穏やかに過ごしていたが、突如生まれた一人の天才がより強い力を求めたため争いが起き、その天才と協力者一人、何も知らぬ赤子二人を残して一族は滅んだ。 その協力者がエシディシであり、その四人が石仮面をかぶり、原初の一(偽)となった柱の闇の一族である。 柱の闇の一族は多くの動物を殺し喰らわなければ生きられないため当然戦争が起こり、宿敵として波紋使いの一族とは幾度も争った。 そして齢十万年以上を数えた西暦1939年、波紋使いジョセフ・ジョースターとの高度な知略戦に敗れる。 敗北後肉体の大半を失いながらも誇りも全てかなぐり捨て仲間のため赤石を届けようと、生きようとあがくが二人の波紋使いの連携に敗れその生涯を終えた。 一人の同朋のために一族皆を敵に回す、仲間のために汚れることもいとわないなど種族の違いから人間と相容れることはできないだろうが、敬意に値すると宿敵にも語られた熱い男である。 【サーヴァントの願い】 宇宙や英霊の座にいる同朋と共に生をやり直し、今度こそ究極生命体となる
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【マスター】 呉島光実@仮面ライダー鎧武 (参戦時期は34話終了後) 【マスターとしての願い】 誰にも、何にも脅かされない絶対の権力を手に入れる。 【weapon】 「戦極ドライバー」 アーマードライダー・龍玄に変身するために必要なベルト。 イニシャライズ機能があり光実以外の人間には使用できない。 「ブドウロックシード」 戦極ドライバーに対応するクラスAのロックシード。 これを使うことで龍玄・ブドウアームズに変身する。 専用アームズはエネルギー弾を発射するブドウ型の銃「ブドウ龍砲」。 「キウイロックシード」 戦極ドライバーに対応するクラスAのロックシード。 これを使うことで龍玄・キウイアームズに変身する。 専用アームズは輪切りのキウイを模した二つの撃輪「キウイ撃輪」。 「ローズアタッカー」 バイク型のロックビークルに変化するロックシード。 速度を上げることでヘルヘイムの森への行き来が可能だが本聖杯戦争では不可能になっている。 「ゲネシスドライバー」 アーマードライダー・斬月真に変身するために必要な次世代型ベルト。 こちらは誰でも使用可能であり、光実はこの性質を悪用して本来の変身者である兄・貴虎になりすましていた。 ちなみにコア部分は取り外し可能で、戦極ドライバーの拡張ユニットとしても利用できる。 「メロンエナジーロックシード」 ゲネシスドライバーに対応するクラスSのロックシード。 これを使うことで斬月真・メロンエナジーアームズに変身する。 斬撃武器としても使用可能な弓矢型の武器「創生弓ソニックアロー」をアームズウェポンの代わりとして扱う。 あらゆる性能が旧世代のアーマードライダーを上回る。 「クレジットカード」 富豪レベルの買い物ができるゴールドカード。 【能力・技能】 アーマードライダーとしての技量は可もなく不可もなくといったところ。 また、明晰な頭脳を持ち大人相手にも弁論で立ち回ることができる。 ただし本人の幼稚な精神性が足を引っ張ることも多々ある。 【人物背景】 沢芽市のダンスチーム「鎧武」に所属する高校生。チームメイトからの愛称は「ミッチ」。 ユグドラシルコーポレーションの重役を父に持つ御曹司でもあり、兄である貴虎からは将来を強く期待されている。 しかし本人はそんな期待を重荷に感じており、兄に秘密で放課後の時間をチーム鎧武で過ごすという二重生活を送っていた。 葛葉紘汰をヒーローとして強く尊敬し、高司舞に異性として憧れを抱いている。 紘汰が斬月(貴虎)に敗北し心を折られたことを切っ掛けにチームを守るためアーマードライダー龍玄に変身し、戦いを始めた。 次々と真実が明かされ状況が変化していく中波風を立たせないようユグドラシル側とビートライダーズ側の二つの立場を使い立ち回る。 しかし次第に紘汰が思い通りに動かなくなり、紘汰に対して苛立ちを覚えはじめる。 そして紘汰が舞を沢芽市で起こっている異変と陰謀に巻き込んだことが原因でついに怒りが爆発。 以降紘汰を邪魔者と見做し命を狙うようになり、戦極凌馬らに裏切られた貴虎も見殺しにした。(ゲネシスドライバーはこの時入手) 一時シドと行動を共にするも彼の死後はオーバーロード・レデュエの右腕に収まる。 しばらくは寝首を掻くことも考えていたが後にオーバーロードの圧倒的な力を見たことで心が折れた。 本聖杯戦争の光実はその時点から参戦している。 能力は高いものの自分の判断を過信し、自己を客観視できないなど精神的には未熟で幼稚な面がある。 【方針】 使える魔力に限りがあるのでサーヴァントと戦闘を行う時は好
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衆愚の街、ゴッサムシティ。 この街は溝水に汚染されている。 企業や行政における賄賂や汚職が横行。 社会の裏側は犯罪組織が牛耳る。 激しい貧富の差が齎す社会的な格差。 正義には程遠い悪徳と退廃が社会を支配している。 聖杯は何故このような世界を会場としたのか。 犯罪の温床である悪徳の街で何故奇跡の願望器が齎されるのか。 マスターである彼はその理由を知らないし、そもそも興味も持たない。 何故ならば、彼もまた悪党であるから。 汚染された街に適応していたから。 男に与えられたNPCとしての役割はマフィアの構成員――――ギャング。 元の世界でもマフィアに所属していた彼にとって当然の役職と言えるだろう。 彼はこの街に溶け込み、犯罪に手を染めつつマスターとして活動しているのだ。 ◆◆◆◆ 「おぉ、もう来ていたのか博士」 時刻は既に深夜を迎えている。 誰一人寄り付かぬ廃工場の内部にて、ギャングである俺は彼に対し声を掛ける。 『博士』は腕を組み、壁に寄りかかりながら待機していた。 「ええ。此処にお呼び立てしたということは、例のモノに関するお話でしょうか」 既に待ち合わせに来ていた博士は、寄り掛かっていた身体をゆっくりと動かす。 彼は麻薬の取引における仕事仲間だ。 大きな病棟に勤務する精神科医でありながら悪事に手を染めている。 このゴッサム・シティというものはやはり悪徳の街だ。 医師でさえ平然と悪事に手を染めるのだから。 尤も、ギャングである自分が稼げるこの街の環境は嫌いではないが。 「ああ、例のヤクの取引に関する話さ。誰かに見られたら困るだろう? 特にあんたみたいな医者が一枚噛んでるなんて知られたら騒ぎになるだろうよ」 「いやはや、尤もです。ここなら安心して相談出来ますからね」 俺は博士に対し『嘘』を淡々と述べる。 普段からこのような人気の無い場所でヤクの取引に関する相談等を行っている。 だが、今回は違う。 今の俺は聖杯戦争のマスターとして動いている。 俺のサーヴァント―――――アサシンの偵察によって、博士も自身と同じマスターであることを見抜いたのだ。 アサシンは博士の右手の令呪を確認し、サーヴァントもまた一瞬ながら視認したという。 故に俺は博士を相談の場である廃工場へと呼んだ。 麻薬の取引に関する話し合いと見せかけ、彼を暗殺することを目論んだ。 博士のサーヴァントのクラスは確認出来ていない。 だが、わざわざサーヴァントに対処する必要は無いと考えた。 廃工場に潜ませているアサシンが博士の暗殺に成功すればいいのだから。 聖杯戦争はルール無用の殺し合いだ。 馬鹿正直にサーヴァントと交戦する必要など無い。 アサシンの敏捷性があれば一瞬で事が済む。 堅気である博士に対処することなど出来ないだろう。 「さて先生、以前あんたに言ったヤクの分け前のことなんだが―――――」 内心でほくそ笑みながら俺は嘘を並び立てる。 ビジネスの取引相手としては悪くなかった。 だが、所詮はその程度の仲だ。 この聖杯戦争で勝ち残る為ならば、容易く切り捨てられる。 「悪いな、予定が変わった。あんたに払える金は無いんだ」 そう、払う必要が無くなるからな。 あんたは此処で死ぬことになるんだから。 ま、悪くない稼ぎだったが、事情が変わったんでね。 『やれ、アサシ―――――――』 アサシンへの念話を飛ばそうとした瞬間のことだった。 俺の顔に突如ガスのようなモノが吹き掛けられたのだ。 「……は、あ?」 唖然とした時には、もう遅い。 胸の内から、脳髄から、内蔵から、濁流のように感情が溢れてくる。 「あ、ああ、あ、ああああ、ああ、あ、ああ、あ、あ、あ、あ」 呆然。不安。焦燥。動揺。恐怖。絶望。 どうしようもない感情の雪崩に腰を抜かしてしまう。 何だこれは。何だ、何だ、何だ何だなんだなんだなんだ!? 『『『『『―――――――――おい』』』』』 誰だ、こいつは。 目の前にいつの間にか覆面の怪物が。 怪物が俺に、語り掛けてきて、 「あ、ああ、う、あああああああああああああああああああああああああああ――――――――――!!!!!!!!!!」 語り掛け、かた、り、かた、かた、かたり、かたかたかたかたかたかたたたたたた、 ばけものが、ばけもの、が、が、―――――――――――― 『『『『『君の言う通りだ。誰かに見られたら困るね』』』』』 ―――――案山子(スケアクロウ)。 ―――――案山子(スケアクロウ)。 ―――――案山子(スケアクロウ)。 ―――――案山子(スケアクロウ)。 ―――――案山子(スケアクロウ)! ―――――案山子(スケアクロウ)!! 「ぎいいいああああああああああ!!!!!うわあああああああアアアアアアアアァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!」 『『『『『此処なら安心して君を始末できる』』』』』 ◆◆◆◆ 廃工場に恐慌の慟哭が響き渡る。 ギャングは完全に錯乱し、地面の上で狂った様にのたうち回っていた。 最早まともな思考能力を失っている。 恐怖に戦き、地面を這いつくばり、必死に叫び回るだけの狂人と化している。 そんな男を見下ろすのは覆面の怪人。 彼のサーヴァントによって暗殺される筈だった精神科医の真の姿だ。 「貴様アアァァァーーーーーーーッ!!!!!!」 直後、怪人の耳に怒声が入ってくる入る。 己のマスターの異変に気付いたアサシンは姿を晒し、怪人の前に立ちはだかったのだ。 アサシンはマスターを庇いつつ短刀を構え、瞬時に覆面の怪人へと接近。 そのまま彼の首を掻き切らんと迫った―――――― 「ざぁんねん」 唐突に新手が割り込んできた。 アサシンの前に突如として立ちはだかったのは派手な装いの男。 ファーのコート。桃色に染められた奇抜な髪。肌から覗くタトゥー。残虐な意思を宿す瞳。 彼こそが覆面の怪人が召還したサーヴァント―――――『アーチャー』だ。 邪悪な笑みをその口元に浮かべ、アーチャーは指を打ち鳴らす。 瞬間、アサシンの肉体が勢い良く吹き飛ばされた。 「が、はァッ!!?」 吹き飛ばされ、壁へと叩き付けられたアサシンが血を吐き出す。 その右胸に生まれていたのは、まるで弾丸で貫かれたかのような貫通痕。 アーチャーが放った奇怪な攻撃によって作られた傷痕だった。 「まさか俺のマスターを上手いことハメられたとか思ってた? ぜぇーんぶ丸聞こえだってことも気付かずにさぁ―――――ゲヒャハハハハハハッ」 アーチャーは不敵な笑みを浮かべ、壁に寄りかかるように倒れ込むアサシンへと歩み寄っていく。 勝ち誇った表情。勝者としての確信。他者をいたぶる愉悦。 ゆったりと歩を進める男から、そんな感情が読み取れた。 アサシンはきっとアーチャーを睨み、立ち上がろうとするも力が入らない。 ―――――『聞こえていた』だと? そんな馬鹿な。マスターとは念話で作戦の打ち合わせを行っていたのだ。 策を事前に聞かれていた等、有り得る筈が無い。 否。まさか、これが奴の――――――――― 「つかさぁ、お前クソ弱ェな?こんなんじゃ肩ならしにもなんねーよ。 俺様の気分を萎えさせんなよ、お前。解る?え?」 アサシンの顔面に叩き付けられる靴底。 目の前まで接近したアーチャーが彼の顔を右足で乱暴に踏み躙ったのだ。 血反吐と土の入り交じった味が口の中で混ざり合う。 直後に蹴りが叩き込まれ、鼻がへし折れる。 再び蹴りが叩き込まれ、片目がぐしゃりと押し潰される。 更に蹴りが叩き込まれ、咽ぶ様に血を吐き出す。 執拗な蹴りを繰り返しても、アーチャーは気が収まらぬ様子で瀕死のアサシンを見下ろす。 「おいマスターちゃん」 ペッと痰を吐き出したサーヴァントが己のマスターへと声を掛ける。 錯乱する男を見下ろしていた覆面の怪人が、アーチャーの方へと目を向けた。 「こいつ好きなだけブッ壊していいよなァ?」 「どうぞ、ご自由に」 覆面の怪人(マスター)から下された許可。 加虐的な笑みを浮かべるアーチャー。 そしてアサシンが顔を上げ、目の当たりにしたのは。 オレンジ色のオーラを纏う、アーチャーの無骨な指であり――――――――― ◆◆◆◆ 「いやはや上出来だよ、アーチャー」 覆面を外した男がパンパンと手を叩く。 慇懃無礼な笑みを口元に浮かべ、己の従者を賞讃する様に述べた。 ジョナサン・クレイン――――――またの名を『スケアクロウ』。 それが悪徳精神科医の名であり、同時に覆面の怪人としての異名だった。 「だせェ呼び方で俺を呼ぶンじゃねえよ。名前覚えてるよな?」 「おっと…これは失礼したね、Mr.マルチネス」 静かに一礼をし、アーチャーへの呼称を訂正する。 ジェイク・マルチネス。アーチャーのサーヴァントとして呼ばれた男の真名である。 彼もまたスケアクロウと同じ。ヒーローと敵対する悪党(ヴィラン)。 あらゆる凶行を犯してきた最悪の犯罪者だ。 あのギャングの謀略は既に筒抜けだった。 廃工場に潜んでいたアーチャーの宝具によって全て見破られていたのだ。 宝具の名は『神に選ばれし者(ウロボロス)』。 アーチャーの存在する世界における超能力者『NEXT』としての技能が宝具へと昇華されたもの。 通常ならば一人一つしか持ち得ないNEXT能力を二つ備える特異体質の具現。 アーチャーは二つのNEXT能力の片割れである『他者の心を読む能力』によってギャングの思考を読んでいた。 そしてアーチャーからの念話でギャングの策を伝えられたクレインは幻覚ガスで先手を打ち、彼を逆に錯乱させたのだ。 対象の恐怖心を引き起こし、錯乱状態に陥れる幻覚ガスこそがスケアクロウの武器である。 「ともかく、君のような優秀なサーヴァントを引けて嬉しい限りだよ」 「そりゃどうも」 片耳を穿りながらぶっきらぼうにアーチャーは答える。 既にアサシンはこの世にいない。 アーチャーの執拗な攻撃によって抵抗も出来ずに消滅したのだ。 幻覚ガスの効果によって錯乱したまま地を這うギャングの頭部を、アーチャーが乱雑に掴む。 そのままギャングの身体がゆっくりと持ち上げられた。 男は必死に抵抗するも、ただの人間がサーヴァントに逆らえる筈もない。 ニヤリと笑みを浮かべたアーチャーは、そのまま右手の力を強め。 「お前からすりゃ俺はアタリ、当然だろ!何せ俺は進化した人類! その中でも飛び切りの『神に選ばれた存在』なんだからなァ」 グシャリと果実の様に潰れる頭部。 男の脳髄と血液が足下の地面に撒き散らされる。 白い紙にぶちまけられたインクのような紅色だ。 一瞬の絶命――――――そして男の肉体より溢れる『魂』をアーチャーが取り込んだ。 魂喰い、サーヴァントによる魔力回復手段の一つ。 人間の魂を喰らい、自らの魔力の糧とする方法だ。 「だがな、お前にとって俺がアタリでも――――俺はお前を気に入っちゃいねえ。 この俺がわざわざ能力もねぇ下等な連中の狗に成り下がってる意味くれぇ解るよな?」 男の魂を喰らった後、アーチャーはスケアクロウに対してそう投げ掛ける。 聖杯戦争。 それはあらゆる願いを叶えるとされる奇跡の願望器を巡る闘争だ。 誰もが己の欲望を賭けて戦うのだろう。 スケアクロウは偶然シャブティを入手し、聖杯戦争に参加した身である。 最初こそ戸惑いや動揺はあったものの、事情を飲み込んだ彼は生還と願いの為に戦いに勝ち残ることを決意したのだ。 彼の望みは富と権力――――――そんな在り来たりで俗な願いだ。 けちな悪事で金を稼ぐ必要も無い。 好きなだけ資金を使い、好きなだけ人体実験を行える。 それを実現する富と権力こそがスケアクロウの望みだった。 尤も、あくまで最優先はこの会場からの生還だ。 聖杯によって本当に願いが叶うのならば使ってみたい、という程度の意思である。 それでも聖杯を求めていることには変わりはないが。 成り行きとはいえ、そういった形で自身も願いを抱えているのは事実だ。 アーチャーも聖杯で願いを叶える為に従者の身に窶しているのだとスケアクロウは改めて理解した。 「狗に成り下がってでも戦う理由がある、ということだろう?」 「まッ、そういう訳だ!だからマスターさんよ、先に言っておくぜ――――――――」 ジェイクの投げ掛けた言葉に対し、静かに答えるスケアクロウ。 不敵な笑みを浮かべていたジェイクの瞳が、ゆっくりと細められる。 「『使える“駒”を引けて満足』ってか。テメェも丸聞こえなんだよ」 「おや、失礼をしたね。申し訳ない」 ――――――おっと、つい心中で無礼なことを呟いてしまったな。 こちらを睨みつけるジェイクに対し、スケアクロウは慇懃無礼に謝罪をした。 【クラス】 アーチャー 【真名】 ジェイク・マルチネス@TIGER BUNNY 【属性】 混沌・悪 【パラメーター】 筋力D 耐久E 敏捷D+ 魔力C 幸運D 宝具B 【クラス別スキル】 対魔力:E 魔術への耐性。 無効化はせず、ダメージ数値を多少軽減する程度の対魔力。 単独行動:C マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。 マスターを失っても一日は現界可能。 【保有スキル】 見切り:B- 攻撃を見切る技能。 宝具『神に選ばれし者』発動時、防御判定・回避判定の成功率がアップする。 回避判定時には敏捷値に有利な補正も掛かる。 ただしアーチャーにとって想定外の攻撃に対しては機能しない。 精神汚染:C 同ランク以下の精神干渉をシャットアウトする。 数々の犯罪を犯した凶悪犯としての精神がスキルへと昇華されたもの。 正体秘匿:D++ サーヴァントとしての素性を秘匿するスキル。 アーチャーの宝具の全データを他者から認識出来なくする 更にアーチャーの真名から宝具を割り出すことが不可能になる。 その為彼の宝具を暴く為には直接の交戦か会場内での情報収集が必要不可欠となる。 凶悪犯『ジェイク・マルチネス』の能力に関する一切の情報が公的資料に残されていなかった逸話の具現。 【宝具】 『神に選ばれし者(ウロボロス)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 進化した人類『NEXT』としての能力。 特異な能力を備えるNEXTの中でも更に異質な存在。 通常ならば一人に一つが原則であるNEXT能力をアーチャーは二つ備えている。 NEXT能力の詳細は以下の通り。 バリア レンジ:1~50 最大捕捉:1~2 球状のバリアを展開する能力。 物理攻撃・魔術攻撃などのあらゆる攻撃判定に対する鉄壁の防御として機能する。 更にバリアをビーム状に変え、指を打ち鳴らすことで高威力の飛び道具として放つことも可能。 ジェイク・マルチネスがアーチャーとして現界した所以。 読心 レンジ:1~20 最大捕捉:1~?(レンジ内にいる全対象) 他者の心を読む能力。 レンジ内に存在する者の思考や念話を無条件に聞き取ることが出来る。 読心の対象はアーチャーが任意に指定可能。 ただし複数の人間の心を同時に読めば相応の魔力負担が掛かる。 『破壊の狂宴(オンエア・ジャック)』 ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1 公共の放送を乗っ取り、享楽目的で自身とヒーローの一騎打ちを開催した逸話の具現。 自身を中心とした一定範囲内に空間隔離の結界を展開し、強制的に一対一の状況を作り出す。 結界に引きずり込む対象はレンジ内にいるサーヴァントから任意で指定可能。マスターを引きずり込むことは出来ない。 固有結界のような異空間を作り出す訳ではなく、あくまで外界とは地続きの隔離空間を展開するのみ。 その為外界からは結界内を通常の空間と同じように認識できるが、内部への干渉は不可能。 ただし空間を断絶・突破する能力を持つ者ならば結界への侵入・結界内からの離脱が可能。 発動に必要な魔力は多いが、結界維持のための魔力消費は非常に軽い。 また結界を解除しない限りアーチャーも離脱が出来なくなる為、使い所は難しい。 【Weapon】 宝具『神に選ばれし者』 【人物背景】 犯罪組織『ウロボロス』の一員。 元傭兵のNEXT(作中に登場する能力者の呼称)であり、通常ならば一人一つしか持たないNEXT能力を二つ備える。 残虐非道かつ気まぐれなヴィランであり、自らが支配するNEXTの国を作り上げることを目的とする。 【サーヴァントとしての願い】 NEXTによる世界の支配。 【方針】 聖杯戦争を楽しみつつ勝ち残る。 下等な無能力者に従うのは気に喰わないが、自身のマスターなので一応報いてやるつもりはある。 とはいえ場合によっては切り捨てることも視野に入れる。 【基本戦術】 戦闘においては宝具『神に選ばれし者』を駆使した立ち回りが前提。 鉄壁のバリアと読心能力、見切りスキルによって防御に関しては滅法強い。 更に高威力かつ連射が可能なバリア射出能力を備えており、攻撃面も悪くない。 欠点として挙げられるのは、宝具への依存性が高くそれらを攻略されれば必然的に脆くなる点。 アーチャー本人の能力は低く、宝具無しでは貧弱の一言。 また読心能力に関しても一度に心を読む人数に比例して魔力消費が増加する為、集団戦も苦手。 それを補うのが強制的に一騎打ちへと持ち込む宝具『破壊の狂宴』である。 ただし発動による魔力消費が大きく、結界を解除しない限りマスターが無防備となる為使いどころは難しい。 【マスター】 スケアクロウ(ジョナサン・クレイン)@バットマン ビギンズ 【マスターとしての願い】 絶対的な富と権力の獲得。 【weapon】 『幻覚ガス』 恐怖を誘発させる幻覚剤を含んだガス。 腕に仕込んだガス噴射装置を用いて噴射する。 『カカシのマスク』 ヴィラン「スケアクロウ」としてのトレードマーク。 幻覚ガスから自身を防護するガスマスクとしての役割も持つ。 【能力・技能】 精神科医としての知識。また幻覚剤の製造にも精通している。 幻覚ガスを武器に使用するが、本人の身体能力はそれほど高くない。 【人物背景】 アーカム精神病院に勤務する精神科医、ジョナサン・クレイン。 その裏の顔はマフィアと結託して悪事に手を染めるヴィラン「スケアクロウ」である。 犯罪者を精神異常と診断し、人体実験の材料としてアーカム精神病院に入院させていた。 恐怖心を誘発させる幻覚剤を含んだガスを秘密裏に製造しており、自身も武器として使用する。 【方針】 聖杯を穫るべく勝ち残る。 自身の立場やコネは最大限利用し、あらゆる手を尽くす。 魔術師など戦闘力を持つマスターは可能な限り警戒。 アーチャーの働きには期待しているが、あくまで駒程度にしか考えていない。 【令呪】 右手の甲に発現。 形状は案山子を模した十字に貫かれるウロボロス(尾を噛む蛇)。 消費はウロボロスの尾(一画目)→ウロボロスの胴体(二画目)→十字(三画目)。
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【マスター】 ハナ・N・フォンテーンスタンド@ハナヤマタ(アニメ版) 【マスターとしての願い】 皆とよさこいを続けたい。 家族とも一緒にいたい。 【Weapon】 なし 【能力・技能】 ニンジャに憧れてフリーランニング(パルクール)を習得している。 小柄ながら身体能力は高いが水泳は苦手。 【人物背景】 由比浜学園へと留学してきたアメリカ人の少女。中学二年生。 アメリカ合衆国ニュージャージー州プリンストン出身。 前向きで積極的、常に快活な明るい少女。 幼少期に日本へ家族旅行に訪れた時に見たよさこいに魅了され、自分もよさこいをするべく日本へ留学。 中学でよさこい部を設立し、部員らと共に「花彩よさこい祭」に参加すべく活動を始める。 しかし祭の直前に母親のジェニファーが来日し、「家族との生活をやり直したい」という想いを告げられる。 思い悩んだハナは母親の意思を優先し、よさこいへの想いを押し殺しながらアメリカへと帰国した。 【方針】 元の日常へ帰りたい。
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【マスター】 ディック・グレイソン@バットマン 【weapon】 特殊な武器は持たない 【能力・技能】 高い身体能力を誇り、アクロバティックな運動を得意とする。 【方針】 ゴッサムの治安を守る。
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【CLASS】 バーサーカー 【真名】 ン・ダグバ・ゼバ 【出典】 仮面ライダークウガ 【属性】 混沌・狂 【ステータス】 筋力:A+ 耐久:A+ 敏捷:B 魔力:C 幸運:D 宝具:B(怪人態) 【クラス別スキル】 狂化:C 言語能力と理性を代価に、サーヴァントのパラメータを上昇させる。 しかし、元より狂っているバーサーカーは理性の喪失を免れている。 それで意思疎通が出来るかと言うと、それはまた別の話になるのだが。 【固有スキル】 歪笑:A 対象に恐怖と威圧感を与え、ファンブルの確立を上昇させる。 両手を血に染め笑うダグバの姿は、人間にはさぞおぞましく映るだろう。 しかし、当の本人は笑いたいから笑っているだけに過ぎない。 精神汚染:C 同ランクの精神干渉を無効化する。 戦闘民族として人間(リント)とは異なる道を歩んだグロンギは、根本的な部分から人間と思想を違えている。 特にグロンギの長たるダグバの心情を理解するなど、並の狂人でさえ不可能である。 戦闘続行:A 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。 彼にとって戦いとは至上の歓びであり、それを中断するという選択肢は端から持ち合わせていない。 【宝具】 『白き闇(ギソキジャリ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1個 ダグバを怪人態に変化させるバックルであり、同時に魔力炉としても機能する宝具。 この宝具で怪人態に変身した場合に限り、彼は本来の能力を発揮できる。 また、天候操作や武器の精製を始めとした様々な特殊能力の行使も可能となるが、 狂戦士のクラスとして召喚された現状においては、その多くが制限されてしまっている。 『究極の闇(キュグキョブンジャリ)』 ランク:C 種別:対人類宝具 レンジ:30 最大補足:30000人 バーサーカーが人類の虐殺の際に用いた能力が宝具に昇華されたもの。 物質の原子や分子を操りプラズマ化させ、範囲内の標的を体内から発火させる。 ただし、存在自体が神秘の塊であるサーヴァントに対しては元々効果が薄く、 対象が「対魔力」のスキルを所有している場合、ランクに応じて火力は更に軽減されてしまう。 以上のの欠点から、サーヴァントとの戦闘ではなく人間の虐殺の為にある宝具と言える。 【weapon】 強靭な肉体と発火能力が頼りとなる。 【サーヴァントとしての願い】 もっと笑顔になりたい。 【人物背景】 太古の昔に封印された戦闘民族「グロンギ」の頭領。人間には「未確認生命体第0号」と呼称されている。 人間態は朗らかな笑みを浮かべた白服の青年だが、子供の遊びの様に殺戮を楽しんでおり、 自ら復活させた約200体のグロンギの半数以上を「整理」と称して殺害、更には3万人以上の人間を虐殺している。 最期は、九郎ヶ岳遺跡にてアルティメットフォームとなったクウガとの決戦に臨み、 バックルを破壊され、生身となっても続いた殴り合いの末に失神、駆けつけた一条薫により射殺された。 泣きながら暴力を振るうクウガと対照に、ダグバは最後の瞬間まで笑顔を絶やさなかったという。
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【クラス】 ランサー 【真名】 乃木園子@鷲尾須美は勇者である 【属性】 中立・中庸 【パラメーター】 筋力 C- 耐久 D 敏捷 A- 魔力:C+++ 幸運 E 宝具 C+++ 【クラススキル】 対魔力:D+++ 魔術への耐性。一工程の魔術なら無効化できる。 宝具により精霊が増加すると共に強化される。 【保有スキル】 神性:D~A+ 神霊適性を持つかどうか。ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされる。 神性を持つ、もしくは神の支援を受けた逸話のある「勇者」の英霊から攻撃を受けた際に耐性として機能する。 このランサーの場合、宝具により武器を強化すると同時に神性も強化される。 一時、身体のほとんどを神樹に捧げ生き神として崇められたため最高値は極めて高い。 直感:B 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。視覚・聴覚への妨害を半減させる。 戦闘続行:A 瀕死の傷でも十全な戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限りは戦闘を続行できる。 ――例え、四肢のほぼ全てと五感の一部が機能しなくとも。 【宝具】 「三ノ輪銀は勇者である(タタカイ)」 ランク:C+++ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 神の祝福。勇者を守る精霊達。 『勇者』という存在を害する全てに対し精霊が出現し、無効化する。 しかし神霊由来の防御であるため、一定ランク以上の『神性』を持つ相手ならば突破は可能。その際の攻撃はランク分の威力削減を行ってからダメージ計算する。 また神性由来でなかろうと、攻撃によって発生した衝撃波や音などには精霊が現れない、もしくは現れてもそれを緩和する程度となる。 初期の精霊は一体のみだが、後述の宝具により散華する度に精霊は増加し、効果も強化される。 「鷲尾須美は勇者である(ヤクソク)」 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:50 最大補足:500人 勇者の切り札。大輪の花を思わせる巫女装束と無数の刃の開花。 「全盛期」の関係上、宝具のランクと効果はランサーの戦闘結果を反映している勇者たちより低い。 神樹から通常よりも多くの力を引き出し、飛行能力を得るだけでなく幸運以外の全てのパラメーターを1ランクアップさせる。 また武器となる槍に威力強化、数量増加、遠隔操作を付与し、与ダメージ計算の際に魔力を計算式に加える。 10ターンの発動を以って終了し、その際に『散華』が発生して身体機能の一部を喪失、代わりに精霊が追加される。 喪失する機能と追加される精霊については20回までは生前の逸話を踏襲するが、21回以降は喪失はランダム、かつ精霊の追加もなされない。 散華する度に神性及び魔力・対魔力が強化されるが、聖杯を得るまではどのような方法を使っても喪失した部位を回復することはできない。 また「鷲尾須美は勇者である」発動中は「三ノ輪銀は勇者である」が発動せず、連続使用した場合は発動ターンが減少する。 【weapon】 槍 宙に浮いた複数の刃を持つ独特な槍。 魔力が強化される度に数が増加する。 【人物背景】 滅びた世界において神樹の力によって守れる四国の中、名家に生まれた少女。 ぼんやりとした性格だが天才的な頭脳を誇り、物事を直感的に把握し危機的状況でも冷静に答えを導き出す。 三ノ輪銀、鷲尾須美と共にバーテックスから世界を守るための「勇者」として選ばれる。当時小学生。 だが戦いの中で銀が戦死。 そういった事態を防ぐべく勇者システムは改善されるものの、 勇者の身体の一部を「供物」として捧げる必要がある事に園子は気付く。 気絶した鷲尾を戦線から遠ざけた園子は単独でバーテックスとの戦いを挑み、撃退したが、 代償として身体機能のほとんどを失い、生き神として祀られることとなった。 ……鷲尾とも、同世代の誰とも長らく出会うことのない、半ば幽閉された環境で。 【サーヴァントとしての願い】 ヤモトが無事に友人との生活に戻ること。 【方針】 マスターの能力は十分だが役割が悪すぎるので、いざという時のためできるだけ自分一人で戦う。 またランサーの私的な感情としてはマスターに人間としての幸せを得て欲しいので、 あまりニンジャとしての能力は使ってほしくない。
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『オマエはドコへも向カウコトハナイ……。トクニ、 「真実」ニ到達スルコトハ……決シテ!』 ジョルノ・ジョバーナが持つゴールド・エクスペリ エンス・レクイエム、それによる拳のラッシュを受け たことでディアボロは敗北し、彼の地獄が始まった。 最初は麻薬中毒らしきホームレスに刺されたことで 次は生きているにも関わらず検死により肝臓を取ら れたことで その次は交通事故に遭う事で そのまた次は――― 彼はありとあらゆる理由で死に続けた。 地を変え時を変え、彼はありとあらゆる手段で殺さ れ続けた。 しかし、そんな彼にも救いが訪れる。 彼の運命には本来ならば存在しない願望器、聖杯に よって。 ◆ ◆ ◆ 次はいつ死ぬんだ、何処から襲ってくるん だ……!? 幾度も死に続けた邪悪、悪魔の名を冠する男ディア ボロは怯えていた。 気が付いたら人通りの多い道、周りを見る限りビジ ネス街だろうか、そこにディアボロは立っていた。 自分の周りを歩いている人間が恐ろしくて仕方な い。 ナイフを持っているかもしれない、銃を向けてくる かもしれない。車だって走っている、ひょっとしたら俺に向かって くるかもしれない。 もしかしたらビルが倒壊して瓦礫が自分に落ちてく るかもしれない。 ディアボロはあらゆる可能性を恐れていた。 しかししばらくして彼は気づく、何かがおかしい と。 普段なら、……決して認めたくないがすでに死んで 別の場所に居てもおかしくないはずだ。だが生きてい る。 ジョルノがレクイエムを解除したのか、それとも死 んだのか、何らかの力でスタンドの力が解除されたの か。それは分からない、今のディアボロに知るすべは ない。しかしディアボロはこれを希望と見た。 そう考えた後の彼の行動は早い。周りの人の格好と 自分の格好は明らかに違い、どう取り繕っても目立ち すぎるので彼は慌てて路地裏に隠れた。 そして一段落がつき、これからの事を考えようとし たとき 「ぐぁッ!!」 ディアボロは頭痛に襲われた。彼はこれをすぐにレ クイエムの仕業だと判断する。 「あの新入りめ……、この俺がそんなに憎いかッ ……!!」 彼は呪詛の言葉を漏らすが、すぐに違和感を覚え る。自分の中に知らないはずの知識が植えつけられて いたからだ。 「聖杯戦争……?」 いくら自分の中にあるからと言ってディアボロは簡 単に信じたりはしない。 普通の人間ならともかく、スタンドという異能を 知っているディアボロからすれば記憶を植え付ける位 は容易であると彼は知っている。 だが一方でレクイエムを止めたのは聖杯の力ではな いかとも彼は考えていた。 信じるか疑うか、どちらを選ぶか悩む前にまた新し い要素が現れる。 「貴方が僕のマスターですか?」 いきなり爽やかな笑みを浮かべた青年が話しかけて きた。 そんな青年に向かってディアボロは一言尋ねる。 「お前が俺のサーヴァントなのか?」 ディアボロと同じ世界の日本の殺人鬼が見れば『質 問を質問で返すなァ―――ッ!!』と怒り狂いかねな い光景だが、青年は嫌な顔一つすることなく 「はい。アサシンのサーヴァント、真名は夜神月で す」 と答えた。 この時点でディアボロは聖杯を信じる方に少し傾く のだが、同時にあらたな問題も発生した。 (この男は信用できない) 一見人のよさそうな笑みを浮かべる自身のサーヴァ ント。 しかしギャングのボスという立場で多くの人間を見 てきた彼にはそうは思えなかった。 (チョコラータとは違うが……。何だ、この男は……) ディアボロには、夜神月が英雄だとは思えなかっ た。 それどころかディアボロには自身のサーヴァントが 邪悪にしか見えなかった。 (まあ、俺の言えたことではないか) ◆ ◆ ◆ 一方アサシンのサーヴァント、夜神月も自身のマス ターを信じてはいなかった。 別に、マスターであるディアボロが自分を信用して いないような目で見ているからではない。マスターか らすればいきなりこんな所に呼ばれ、命を懸けて戦わ されるのだ。あっさり信じる方がどうかしている、と すら月は考えていた。 アサシンである彼がマスターを信じきれない理由は 一つ。 (この男は悪だ) それだけだった。 (殺しをためらわない相棒というのは、この場ではあ りがたいのかもしれないが……) 悪人を殺し、優しい人間だけの世界を作ろうとする 自分とかみ合う訳がない。月はそう考えていた。 (だが見て居ろL。僕はこの戦いを勝ち残り誰もが理想と する新世界を造る、そして僕はその神となって見せ る!) 【クラス】 アサシン 【真名】 夜神月@DEATH NOTE 【パラメーター】 筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運C 宝具EX 【属性】 秩序・悪 【クラススキル】 気配遮断:E 自身の気配を消す能力。 完全に気配をたてばほぼ発見は不可能となるが、攻撃 態勢に移るとランクが大きく下がる。 【保有スキル】 神性(偽):C 神と呼ばれた事のある神霊以外の存在に与えられるス キル。 彼は本物の神同様の信仰を受けていたが、本名を秘匿 していたのでランクが下がっている。 【宝具】 『死神の帳簿(デスノート)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1~∞ 最 大補足:1 このノートに名前を書かれた人間は死ぬ。 書く人物の顔が頭に入っていないと効果は無い。故に 同姓同名の人物に一片に効果は得られない。 名前の後に人間界単位で40秒以内に死因を書くと、 その通りになる。 死因を書かなければ全てが心臓麻痺となる。 死因を書くと更に6分40秒、詳しい死の状況を記載 する時間が与えられる。 「人間界単位で124歳以上」および「残りの寿命が 12分以内」「生後780日未満」の人間をデスノー トで殺すことは出来ない。 その他様々なルールがあるがここでは省略。 ちなみに、ノートからページを切り離した状態でも使 用可能。 ・・・・・・というのが本来のデスノートの効果であるが、宝具となったことにより以下の変化が生じている。 まず、寿命のないサーヴァントにも通用するようになった。 ただし、人間界単位で124歳以上まで生きた人間には通用しない。 また、生前から人間以外だった存在にも通用しない。これは、何らかの手段で人間を辞めた元人間の場合も同様である。 しかし、僅かでも人間の血を引いていればデスノートは通用する。 【weapon】 なし 【人物背景】 元々は全国模試で1位を取る、テニスの全国大会で優 勝する位の文武両道である以外は普通の高校生だっ た。 しかし、2004年の11月28日に死神が落とした デスノートを拾う事で一変。彼は悪人を殺す存在とな る。 それはキラと呼ばれ、やがて神のように呼ばれること になる。 しかし、キラを悪と考える存在からは殺人者として追 われることになる。 そして2010年1月28日、キラは敗北し死亡し た。 【サーヴァントとしての願い】 再び新世界の神として君臨する。 【マスター】 ディアボロ@ジョジョの奇妙な冒険 【マスターとしての願い】 再び帝王になる。 【weapon】 スタンド『キングクリムゾン』 【能力・技能】 『時間を吹き飛ばす』能力と『未来を予知する』能力 を持つ。 【人物背景】 元はイタリアのギャング『パッショーネ』のボス。 そこで彼は正体を隠しながら活動していたが、あると き部下から反乱にあう。 そして最後には敵のスタンド能力によって『何度も死 に続ける地獄』を味わうことになった。 【方針】 聖杯狙い
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ゴッサムシティ、麻薬取締局二階―――――トイレ内にて。 洗面台の前に一人の男が立つ。 彼は用を足した手を洗い、ハンカチで拭い、鏡の前で身嗜みを整える。 そのまま男は、懐より薬物のケースを取り出した。 「―――――♪」 荘厳なオーケストラの鼻歌と共に、パチリとケースの蓋が開けられる。 取り出されたカプセル錠は、迷わず男の口へと放り込まれる。 ゴクリ、とそれは咽頭の奥底を通っていき。 口腔で分泌された唾液と共に、食道を流され。 そして、ゆっくりと胃の中へと溶け落ちる。 「ふ、あぁァ――――――――ぁ――――――――――――」 コキコキと首の骨を何度も鳴らし、まるで天を仰ぐかのように男は顔を上げ両腕を広げる。 脳髄と神経に、迸るような炎が灯る。 清々しい程の昂揚感が精神を満たし始める。 「――――――あァ――――――ふゥッ――――――――――………………………」 吐息混じりの震えた声が、乾いた唇より漏れ出る。 “クスリ”による興奮と昂揚が男の全身を駆け巡る。 これだから、この快楽は止められない。 感情の昂りにその身を委ねた後、かくりと首を落とすように俯く。 そのまま男はふぅと一息を付いた後、鏡を見上げて口の両端を釣り上げる。 どこか不気味な笑みを浮かべ、何事もなかったかのようにトイレを後にしようとした。 「また“常備薬”かよ、スタン」 その瞬間、トイレへと入ってきた別の男が話し掛けてくる。 聞き覚えのある声に、男は―――――スタンスフィールドは僅かに目を細めてそちらを向く。 視界に入ったのは同じオフィスの同僚だ。 洗面台の前から動こうとしていたスタンスフィールドはその足を止める。 「お前か。そりゃあ常備薬は日課として、か……欠かせないものだからな!」 「解ってるけど、程々にしとけよ。バレたらお前の立場も危ないんじゃないか」 「どうせ上も下もドブのような悪党しかいないだろう?」 違いねえ、と同僚は苦笑いを零す。 彼らは麻薬取締局の職員、つまりは麻薬捜査官だ。 麻薬を取り締まる者が“クスリ”を楽しむ等、言語道断の極みだろう。 しかし、同僚は軽い忠告をするのみ。 それ以上は口出ししないし、さも当たり前のように見過ごす。 何故なら、この程度の『裏』はそう珍しいものではないからだ。 ゴッサムシティは悪徳と衆愚の街である。 建前で塗り固められた社会の裏側は堕落を極めている。 官僚や警官が汚職に手を染めることでさえ、そう珍しくはない。 秩序を守る者が裏で闇社会との繋がりを持つ。 正義の執行者が悪徳の所業に手を染める。 それさえも、『よくある話』でしかない。 麻薬捜査官が“クスリ”に手を出すことなど、衆愚の街では日常の範疇でしかないのだ。 「ところで、聞いたかスタン」 「聞いたって何の話だ」 「ほら、あのファミリーの件だよ」 「生憎だが、思い当たる節が多すぎる」 「ほら、俺達の取引先のシマで何人か行方不明になってただろ? 昨日になってまたもう一人消えちまったらしいぜ」 同僚の言葉に、スタンは思い出したように大げさな素振りを取る。 同僚が持ち出したのは麻薬売買の取引先のマフィアの話だ。 スタンスフィールドと彼はいわゆる『汚職仲間』である。 彼らはマフィアの麻薬ビジネスに一枚噛み、不当な利益を得ているのだ。 そんな彼らが取引をしているマフィアのシマで、相次いで行方不明事件が発生しているという。 その被害は民間人だけに留まらず、取引先の構成員達にも及んでいるらしい。 「またか。身勝手な人間サマに神が天罰でも与えてるんじゃないのか?」 「この世に天罰があるんだったら、俺達なんかとっくに消し炭だろ」 そんな下らない冗談を口にし、二人は苦笑を浮かべる。 神の天罰と言うものがあるとすれば、真っ先にそれを下されるのは自分達のような人間だろう。 麻薬を取り締まる法の番人でありながら、麻薬売買に関わっているのだから。 「で、最初にいなくなったファミリーのチンピラは先日ようやく見つかったそうだ」 「そいつは生きていたのか?」 「いいや、ミンチにでもされたみてえな酷い有様だったとよ」 同僚の話によれば、発見された死体は人としての原型を留めていなかったという。 まるで人智を超えた化物に全身を引き裂かれたかのような。 そんな凄惨極まりない状態で、死体はドブに捨てられていたとのことだ。 「奴らと関わってる俺達もいつか目を付けられちまうかもな。お前も気をつけろよ、悪徳刑事殿」 「ご忠告感謝致します、汚職刑事殿」 そんな冗談じみた忠告を口にする同僚を尻目に、スタンスフィールドはトイレを後にする。 どこか思い当たる節があるような表情を僅かに浮かべ、彼は足早に廊下を進む。 そのまま彼は、誰もいない休憩所へと足を踏み入れた。 「行方不明事件ね。近頃は物騒なものだ! お前もそう思わないか?親愛なる同志殿」 そして、スタンスフィールドが陽気な態度で言葉を投げ掛ける。 スタンスフィールドの視線の先は、誰もいない空間―――――誰も座っていない椅子。 しかしその直後、休憩室の椅子に座っていた『巨躯の男』が実体化する。 黒尽くめの服装。左目を覆う眼帯。“鯨”を思わせる巨体。 そして、その片手に握り締めた一冊の本。 彼こそがスタンスフィールドが手にしたシャブティを媒体に召還された従者、アサシンのサーヴァント。 「嵐の前の静けさは素敵だと思わないか!?」 昂揚の混ざった声で、スタンスフィールドは己の従者に語り掛ける。 偽りのゴッサムシティで開催されし聖杯戦争。 麻薬捜査官、ノーマン・スタンスフィールドはその参加者―――――マスターだった。 「ここではそう珍しくもない」 「ま、それもそうだがな。それでも何か引っ掛かるものがある! あのファミリーはこの街の重鎮だ、そこいらの鉄砲玉がそう気軽に手を出せる連中じゃない」 アサシンの冷静な一言に対し、スタンスフィールドは大袈裟な手振りと共に捲し立てる。 有力マフィアのシマで発生した連続行方不明事件。 うち一名の構成員が死体となって発見されたという。 スタンスフィールドは汚職刑事だ。 しかし、それと同時に刑事として有能な男だった。 故に彼はこの事件に何か引っ掛かるものを覚える。 有力マフィアの構成員を含んだ不可解な連続失踪。 うち一人が遺体となって発見されたことから、恐らく他の失踪者も殺されている可能性が高い。 だとしたら、誰の仕業なのか。 マフィアや民間人を無差別に誘拐殺人した所で、悪党共に利があるとは思えない。 恐らくは、聖杯戦争が絡んだ事件か。 近辺に巣食うサーヴァントによる魂喰い。 あるいは、マスターと思わしき者を対象にした無差別な狩り。 可能性は色々とあるが、今はまだ情報が少ない。 この件に関しては追々調査する必要があるだろう。 「それにしても、聖杯戦争ね。 奇跡の願望器、聖杯。古今東西の英雄様の具現、サーヴァント。 まるでイカレた宗教家の与太話だ」 聖杯戦争が事件に関与する可能性を考え、スタンスフィールドはふとそんなことを呟く。 奇跡の願望器である聖杯を巡る争い。 古今東西の英雄を召還し、殺し合わせる戦争。 さながらゲームやコミックの物語、あるいは宗教家の妄言か。 想像だにしなかった未知の世界に対し、苦笑いを浮かべながらごちる。 「だが、奇跡は実在する」 「だろうね。記憶が正しければ、俺はあの時消し飛んだ筈なんだからな」 きっぱりとそう断言するアサシン。 スタンスフィールドは過去を追憶するように呟く。 彼は、死んだ筈の男だった。 己を追い詰めようとした一人の殺し屋と少女を仕留めんとし。 機動隊を動員して二人を追い詰め。 そして殺し屋と対面し、最期の最期で自爆に巻き込まれ。 スタンスフィールドは、命を落としたはずだった。 だが、彼はこうしてゴッサムに召還された。 いつの間にか手にしていたシャブティを媒体に、彼は聖杯戦争へのチケットを獲得した。 疑問は幾つもあるし、こんな御伽話じみた話が本当にあるとは思っても見なかった。 死に際の夢ではないかと疑っていたこともあったが、すぐにこれが現実だと確信した。 己のサーヴァントと出会い、聖杯戦争の記憶を飲み込み、自分が今『生きている』ことを確実に認識したのだ。 「マスターの願いは、生き残ることか」 「今はそういうことで――――――頼むよ、“自殺屋”」 スタンスフィールドは、不敵な笑みを浮かべながら己の従者に対し呟く。 聖杯に託す願いは、ここから生き残ること。 一度落とした命を再び獲得することだ。 その為に彼は一切の手段を選ばない。 どんな手を使ってでも、あらゆる立場を駆使して勝つ。 それが彼の望みだった。 聖杯の獲得という『依頼』。 アサシンは無言でそれを承諾する。 彼は、凄腕の殺し屋だった。 あらゆる依頼を遂行し、数々の人間を『自殺』させてきた。 “自殺屋”と呼ばれた男は、英霊となっても決して変わらない。 ただ依頼人から託された仕事を完遂させるだけだ。 【クラス】 アサシン 【真名】 鯨@魔王 JUVENILE REMIX 【ステータス】 筋力D 耐久E 敏捷E 魔力C 幸運C 宝具C 【属性】 中立・中庸 【クラス別スキル】 気配遮断:E+ サーヴァントとしての気配を絶つ。ある程度の隠密行動に適している。 他者から自身がサーヴァントであると察知されにくくなる。 【保有スキル】 正体秘匿:C 社会の闇に溶け込み、己の素性を隠す技能。 契約者以外のマスターはアサシンのステータスを視認することが出来ない。 ただし自らの宝具を解放した者に対しては一切効果を発揮しなくなる。 依頼遂行:B 人殺しを生業とする殺し屋としての逸話の具現。 『特定個人の殺害』を依頼された際、指定された標的に対して有利な補正が働く。 更に指定された標的を対象に宝具を発動した場合、判定が強化される。 補正の度合いは依頼者から与えられた『標的に関する情報量』に比例する。 話術:E+ 標的を諭すように死へと追い込む技能。 言論によって対象の精神抵抗判定のファンブル率を上昇させる。 宝具と併用することでより効率的に「自殺」させることが出来る。 【宝具】 「自殺屋」 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:1~? 他者を自殺へと導く魔眼。 アサシンの両目を見た者の罪悪感と無力感を異常なまでに増幅させる。 この能力を受けた者は生きていることさえ苦痛に感じ、その場で自殺に追い込まれる。 精神干渉耐性によって軽減が可能だが、例え自殺を回避したとしても幻聴等の後遺症が残る場合がある。 普段は眼帯で左目を隠し、この宝具を封じている。 【Item】 『罪と罰』 アサシンが持ち込んできたもの。 ロシアの文豪ドストエフスキーの代表作。 アサシンの愛読書であり、彼が唯一読む本。 【人物背景】 左目に眼帯を付けた巨躯の殺し屋。 鯨という名前の由来はその大柄な体格から来ている。 「罪と罰」を愛読書とし、それ以外の小説は読んだことが無い。 己の両目を見た者を自殺させる能力を持ち、仕事の際には眼帯を外して能力を解き放つ。 その能力を駆使し、これまで数多くの標的を「自殺」させてきた。 【サーヴァントとしての願い】 マスターの依頼を遂行するのみ。 【方針】 マスターの指示が入り次第動き、標的を暗殺する。 サーヴァントとの直接戦闘は極力回避。 【マスター】 ノーマン・スタンスフィールド@レオン 【マスターとしての願い】 生き残る。 【Weapon】 回転式拳銃(S W M629) 【能力・技能】 捜査官としての能力は優秀。 捜査官の立場を持つ裏で汚職に手を染める等、狡猾さも併せ持つ。 ゴッサムシティにおいても麻薬捜査官としての権限、そしてマフィアなど裏社会との繋がりを持つ。 【人物背景】 映画「レオン」に登場するニューヨークの麻薬捜査官。 その実態は麻薬取締局に所属しながら裏で麻薬密売組織を牛耳る汚職刑事。 麻薬捜査に見せかけてマチルダの家族を皆殺しにする等、冷酷かつ残忍な性格。 自らも麻薬に手を染めており、エキセントリックな行動が目立つ。 殺し屋であるレオンが自らの配下を殺したことに気付き、彼を少しずつ追い詰めていく。 作中終盤で満身創痍のレオンと対面するも、彼の手榴弾による自爆に巻き込まれ死亡した。 【方針】 とにかく勝ち残る。 捜査官としての立場を最大限に生かし、情報を掻き集める。
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――――事態は切迫している。 キャスターの優秀な監視網から得た情報があるからこそ、実弟・光実をよく知るからこそ、呉島貴虎はそう強く認識していた。 単に白亜のアーチャー陣営が同盟を組もうとしているというだけであればこうまで焦りを覚えることなどありはしない。 聖杯戦争ということなら有り得ない話ではないし、キャスターならば撹乱・分断の策などはいくらでも用意できる。 襲撃を一時見送らなければならなくなるにせよ、白亜のアーチャーへの対策も無駄になることはない。 「マスター、これは非常に不味い状況かと」 キャスターも現状の厄介さを十分に理解しているらしい。 それはそうだろう。今白亜のアーチャー陣営に接触しようとしているのは誰あろう呉島光実なのだから。 光実が白亜のアーチャーを取り込んで何をするか、想像できない貴虎とキャスターではない。 前提として光実は貴虎がマスターである可能性を疑っている。 キャスターの情報収集の成果からもそれは明らかであるし、そもそも貴虎自身予選の頃から光実をマスター候補と疑っていたのだから逆はあって当然だ。 そしてもう一つ。これが最も重要なことだが光実は貴虎の居場所を知っている。 貴虎は自らがマスターであること、どこに拠点を構えているかを誰にも知られぬよう立ちまわっているが唯一つ例外が在る。 その例外こそ呉島光実に他ならない。優秀な光実なら貴虎がユグドラシルタワー自体を拠点にしている可能性にも気づけるだろう。 今までは光実も地力に劣るサーヴァントを従えているために無理をできなかったのだろうが、もし白亜のアーチャー陣営を味方につけたのなら話は変わる。 マスターである少女を口八丁で丸め込むことぐらい光実なら当然可能だろう。 加えて、あの少女はアーマードライダー龍玄に恩がある。仮面の下の正体を明かせば少女は光実を信用する可能性が高い。 そうして自分たちの手を汚さずして白亜のアーチャーをユグドラシルタワーに差し向ければ光実は労せずして自分たちを落とすことができる。 これこそ貴虎とキャスターが最も危惧すべき最悪のシナリオだった。 (危険を承知で今、動くしかないというのか……) 幸いにも光実と少女の自宅はまだそれなり以上の距離があり、今ならまだ対処するだけの時間的余裕がある。 しかし、オーバーロード・デェムシュやキャスターの使い魔を感知してのけたランサーなど、今のUPTOWNには不安要素が多すぎる。 加えて、白亜のアーチャーへの対策として投入する予定である精神防御礼装もまだ完成に至っていない。 座して死を待つか、多大なリスクを抱えても電撃作戦を仕掛けるのか。究極の二択を迫られる。 まさか楽観的な予測に全てを賭けるわけにもいかない。 「これは…!マスター、先のランサーとオーバーロードが交戦を開始しました!」 「何だと!?」 先ほど撃破されたことを鑑みて使い魔はかなり遠くからの監視に留めていた。 しかしつい今しがたビル群を高速で移動、遭遇を果たしたデェムシュとランサーを捕捉したのだった。 ハイレベルのサーヴァントとそれに伍する存在たるデェムシュの激突は両者一歩も譲らぬ激戦の様相を呈しており、どちらも使い魔の存在に気づいた様子はない。 つまり、今貴虎とキャスターが動き出したとしてもこの二騎に気取られる可能性は極めて低くなったということ。 懸案事項だった不確定要素が消滅とはいかないまでも大幅に減ったのだ。 「どうやら天運は我々に味方しているようだな」 ここに至り、ついに貴虎は決断した。 未だ準備は不完全だが、今ここで少女とアーチャーを鹵獲することを。 元よりユグドラシルの社内は完全に掌握しているためしばらく貴虎がいなくなったところで後からどうとでも記録は改竄できる。 加えて現場第一主義者である貴虎はよく社内の見回りを行っていたためよほど長時間社内を空けない限り怪しまれる可能性は低い。 「機は熟した…とは言い難いがこの機を逃すわけにはいかん。出るぞ、キャスター」 「はい。ですが礼装は今から急げば試作型が出来上がるという程度で完成度は予定よりも大幅に落ちますが……」 「構わん。それと、分断策が使えない以上プランを変更する必要があるな」 「どうされるのですか?」 キャスターの誰何に貴虎は今は偽装されている、令呪の宿った腕を示してみせた。 「この作戦は我々の今後を占う重要な一戦になる。貴重な切り札とて惜しまず投入するさ。 それから目標の自宅周辺の監視を強化してくれ。最善を果たすことは難しいが、だからこそここは次善を尽くす。 我々の動きを発見する者がいれば、可及的速やかにこれを捕捉する態勢を作るんだ。素性も能力もわからぬ主従に奇襲されることは極力避けたい」 「わかりました」 具体的な作戦行動を煮詰めることに関してはキャスターよりもヘルヘイム対策指揮を執っていた貴虎に一日の長がある。 「ある場所」に竜牙兵を一体向かわせるなど時間の許す限り作戦を煮詰め、出撃の準備を整えていった。 ▲ 「マスター、準備が整いました」 「わかった」 竜牙兵の移動にも使われる搬入口から貴虎とキャスターは出発することにした。 飛翔の魔術と周囲への認識阻害を併用することによって空から一気に目標の自宅まで移動する算段だ。 貴虎は懐に仕舞っていたメロンロックシードを取り出し、起動した。 「変身」 『メロン』 貴虎は生身の姿を晒して移動するつもりなど毛頭ない。 ここから先は仮面を被り、正体を秘して動く。そのための変身。 『ロックオン!』 ロックシードをベルトにセット。聞き慣れた電子音声が鳴る。 同時に、貴虎の真上にファスナーが開いたような丸い穴(クラック)が出現。さらにクラックから緑の果実が姿を現した。 貴虎は思う。この発明、戦極ドライバーは本来なら人間同士の戦争に用いられるべきものではなかった筈だと。 人類の未来を切り開く、夢を託したドライバーだった筈なのだ。 しかし聖杯戦争という盤上では戦極ドライバーは単なる人殺しの道具、強力な兵器に成り下がってしまった。 そして自身もまた戦争のためにこの力を使っている。我ながら度し難い限りだ。 それでも、この力で戦うのだ。為すべき事から逃げ出すという選択肢は呉島貴虎の中には最初から存在しない。 普段よりも力を込めて、カッティングブレードを倒す。 変身を完了させるための、最後のプロセスだ。 『ソイヤッ!メロンアームズ!天・下・御・免!!』 頭部から果実を身に纏い、呉島貴虎の姿は異形の戦士へと変わる。 アーマードライダー斬月・メロンアームズ。いざ、出陣。 ▲ ――――空気が変わった。 アーチャー、暁美ほむらは嫌な予感から霊体化を解き仮初めの肉体を実体化させた。 「何してるんだよ、通りでいきなり姿を見せたら」 「その心配はいらないわ。気づかない?さっきから人の姿が全く見当たらなくなってる」 アーチャーの言葉にそんな馬鹿なと思いつつ辺りを見回すが――――確かに誰もいない。 つい先ほどまでは、まばらではあっても通行人の姿があった筈にも関わらず。 どういうことだと光実が思案しようとしていた時、建物や塀の影から無数の異形がカタカタという音とともに二人を取り囲んだ。 「こいつら、何だ……!?インベスとは違う……!」 「使い魔の類かしら。何にせよ、タイミングが悪いわね」 光実とアーチャーの前に立ちふさがったのは骨で形作られた兵隊のようだった。 形は様々で、四足歩行のものもあれば大剣や弓、二刀の短剣を持った個体もある。 サーヴァントの姿は見えないし検知もできないが、何者かの差金であることは間違いないだろう。 あと一キロほど歩けば前川みくと接触できたというのに、こんな時に敵襲とは。 「いつどこからサーヴァントが出るかわからない。注意しなさい」 「言われなくてもわかってる。変身!」 『ブドウ』 何であれ、ここで殺されてやるつもりなどは毛頭ない。 手慣れた手つきで即座に戦極ドライバーを装備し、ブドウロックシードを起動した。 ゲネシスドライバーは使わない。敵の狙いがこちらの手の内を探ることだとすれば、迂闊な使用は向こうの思う壺だ。 『ロックオン!』 ロックシードをセットし、クラックからブドウの果実が出現する。 すると使い魔たちが変身などさせぬとばかりに一斉に襲いかかってきた。 『ハイィ~!ブドウアームズ!龍・砲!ハッハッハ!』 しかし、光実に飛びかかってきた使い魔を鋼の果実が回転しながら迎撃。使い魔は呆気無く砕け散った。 そして果実は全身を包む鎧となり、アーマードライダー龍玄への変身が完了した。 瞬時にブドウ龍砲を発砲、エネルギー弾が正面から躍りかかってきた使い魔を粉々に粉砕した。 アーチャーはといえば、両手に持った拳銃を巧みに操り光実をして感嘆するほどの体捌きで次々と使い魔を破壊していた。 戦闘開始だ。敵サーヴァントの奇襲に注意しつつ、しかし確実に使い魔を屠っていかなければならない。 ▲ ――――また一人、誰かが出掛けたか。 白亜のアーチャー、正義の名を冠する彼女はマスターたる前川みくの住むアパートからまた一人誰かが出て行くところを確認した。 別段、NPCの行動や嗜好に興味などはない。ただ、上手くは言えないが何かが妙だとは感じた。 警戒しすぎか……いや、マスターのことを思えばいくら警戒していても不足ということはない。 ちらりとみくの部屋を見やると窓ガラス越しに携帯電話を操作しているらしいマスターの様子が見えた。 警戒を呼びかけようかとも思ったが邪魔するのも気が引けるのでやめておくべきか。 そう考えていた時、ジャスティスのセンサーが魔力、いや魔術行使の気配を検知した。 ジャスティスには効果の及ばない類の術だがみくのアパートを含めた広範囲に渡って散布されている。 少し前まで霊体化していたこともあって、気づかないうちに魔術の効果が浸透していたのか。 何であれ、マスターであるみくがこの一帯に留まり続けるのは明らかに不味い! (マスター、敵襲だ!すぐにそこから離れろ!) (え、アーチャー、敵襲って……あ…な、に、これ……」 (マスター!?) 念話が途切れる。見れば、部屋の中にいるみくが携帯電話を手放し昏倒している様子が見受けられた。 レイラインが途絶したわけではないため、命に別状はなさそうだがあれでは当然逃げることもできない。 ジャスティスが抱えて逃げ出すこともまたできない。 「まさかこうも上手くいくだなんてね。仮にも聖杯に見初められたマスターなら魔術対策の一つや二つ打っていて当然と思っていたのだけど」 「………キャスター、か」 何故なら、上空にローブを被った如何にも大衆がイメージするところの魔女といった出で立ちのサーヴァントが現れたからだ。 アパートの住人たちが次々とここを離れていたのもこの女の魔術に依るものだったに違いない。 そしてみくがピンポイントで魔術によって意識を奪われたことから考えて、既に彼女がマスターであることは知られている。 さらに空を飛べるのなら、ジャスティスがみくを抱えて逃げようとしても容易く撃墜できる。 対魔力を備えるジャスティスはキャスターの魔術を弾けるがそれとて絶対というわけではないし、みくを狙われればどうしようもない。 ならば、可及的速やかに撃滅してここを離れるのみだ。 魔力放出。瞬きのうちに空中にいるキャスターとの距離をゼロにし横薙ぎにミカエルソードを振るい、その身体を切り裂いた。 だが、斃せていない。斬り伏せたはずのキャスターの姿は既にジャスティスの目の前にはなく、地上に移動していた。 空間転移。極めて高度な大魔術を準備もなく一瞬にして成したというのか。 「あら、怖いわね」 「大した術者のようだが、無謀だぞキャスター。お前では私に勝てない」 キャスターと同じく地上に降り立ったジャスティスの言は驕慢でも油断でもなく紛れも無い事実だ。 強大な魔術師のサーヴァントといえど対魔力スキルを有する三大騎士クラスのサーヴァントには勝てない。 さらに言えば魔術師は戦闘者ではない。正面対決というフィールドで、戦場で名を馳せた騎士クラスの資格を持つ英雄たちと戦えば当然、分は悪い。 ジャスティスとみくの素性を下調べしてきたにしては軽率に過ぎる行動と言わざるを得ない。 ――――ただし、それは正しく一対一の尋常な果たし合いだった場合の話である。 暗い路地から人影が一つ。その人影は鎧武者と形容するのが相応しい姿だった。 左手に大型の盾を、右手に刀剣を持った白い仮面の戦士。しかしそれ以上にジャスティスが注目したのは腰に付けたベルトだ。 先ほど遭遇したマスターである緑の戦士が身につけていたベルトと全く同じものを装備していた。 「まさかマスターが前衛を張るつもりか?私を相手に?」 「その気がなければここにはいない」 よく見てみれば白い戦士は全身と武装から魔力が感じられる。先の緑の戦士とは違い魔術的強化(エンチャント)を受けていることは明らかだ。 ジャスティスの宝具の一つ「叛逆の王(ギルティギア)」にも何らかの対策を施してきたのかもしれない。 だが、まだ足りない。あちらも同様の認識だったのだろう、白い戦士が令呪発動の命令(コマンド)を解放した。 「令呪を以って命じる。この一戦の間対魔力スキルを打ち破れ」 「承りました、マスター」 令呪のバックアップを受けたキャスターがジャスティスへ魔術攻撃を放つ。 四発放たれた魔力弾は全てがAランク相当の魔術。しかしジャスティスはミカエルソードで全てを防御した。 されど、「防御しなければならなかった」。今のキャスターにはジャスティスの対魔力をも無効にする概念のようなものが付加されている。 三騎士クラスがキャスターに対して有利となる要素を令呪によって打ち消す。敵ながら上手い使い方だと認めざるを得ない。 キャスターに反撃を行おうとしたジャスティスを遮るようにして白い戦士、アーマードライダー斬月が盾を構えて間合いを詰める。 元々の斬月自体の人間の域を超えたスピードにキャスターの強化が合わさった加速は最早サーヴァントと同じステージに在る。 振るわれたミカエルソードを大盾・メロンディフェンダーで受け止める。当然のようにジャスティスに押し込まれるが、逆に言えば押し込まれるに留めている。 「…なるほど、ただの自惚れで私と相対したわけでもないか」 「あまり人間を侮ってもらっては困る」 無論、ジャスティスは手加減などしていない。許される魔力消費の範疇内とはいえ全力で斬月を屠ろうと剣戟を見舞っている。 だが斬月はジャスティスの予想を上回る強者だった。アーマードライダーの力とキャスターの魔術支援によって辛うじてジャスティスと同じ領域で戦えるパワーと装甲。 加えて変身者である呉島貴虎自身の培った技量と戦術眼で、圧倒されながらもジャスティスの攻撃を受けきってみせている。 敵の攻撃を見切り、後の先を取ることに長けた貴虎だからこそ成し得る奇跡だ。 (だが、こいつは何故私に立ち向かえる?キャスターの仕込みがあるとしても私の宝具を完全に防げるとは思えん。 あるいは、あのライダーと同じ狂人の類なのか?) 何故、斬月はこうもジャスティスに肉薄し真っ向から近接戦闘を繰り広げることが可能なのか。 スペックや技術の話ではない。ジャスティスが疑問を抱いた通り、精神的な問題だ。 キャスターは自身に精神防御魔術を施すことによって「叛逆の王(ギルティギア)」の影響をある程度軽減している。 しかしマスターである斬月はそうはいかない。キャスターが用意した試作型の精神防御礼装の効力で多少は影響を抑えているがそれだけだ。 しかし事実として斬月は堂々とジャスティスに立ち向かっている。ジャスティスに対して怯み、竦んだ光実との違いは何なのか。 無論、貴虎は「叛逆の王(ギルティギア)」を無効化しているわけではない。 絶えずジャスティスが放つ破壊神のプレッシャーに晒され、身体能力も削ぎ落とされている。 貴虎はただ、ひたすらに耐えているだけだ。ジャスティスの攻撃に、威圧感に。 ノブレス・オブリージュ。人々を守るために力を尽くす、呉島貴虎を形作る強固な信念。 地球がヘルヘイムの侵略に晒された時も、オーバーロードの王ロシュオの絶大な力を目の当たりにしても尚捨て去ることのなかった信念が貴虎に膝を屈させない。 「はあああああっ!!」 斬月の渾身の反撃を一歩も動かず受け止めるジャスティス。 無双セイバーとミカエルソードが火花を散らし、すぐにジャスティスが膂力のみで斬月を吹き飛ばした。 そのまま吶喊しようとした時、キャスターが現代人は元よりジャスティスにさえ聞き取ることのできない発音で呪文を紡いだ。 「………っ!」 目に見えない何かが重石になったようにジャスティスのあらゆる動作速度、パワーが一段階落ちた。 重圧の魔術によってキャスターがジャスティスの能力を削ぎ落としたのだった。 本来なら対魔力で無効化ないし大幅に減衰できるのだが、キャスターが令呪のバックアップを受けている今は直撃を免れない。 キャスターからすればジャスティスがこちらの力を削いでくることは百も承知。ジャスティスの宝具を防ぎきれないならこちらも相手の能力を落とせばいいのだ。 続けて放たれた攻撃魔術。どれもが当たりどころ次第で大きな痛手になる大魔術をジャスティスは高速移動で回避。 回避した先に、復帰した斬月が一気に迫り無双セイバーを振るった。 再び無双セイバーとミカエルソードがぶつかるが、今度は先ほどのようにジャスティスが斬月を圧倒することはできない。 無論未だパワーではジャスティスの方が上だが、単純な腕力のみで押し切ることはできない程度には両者の差は縮まっていた。 業を煮やしたジャスティスが法力を解放、バーストで斬月を吹き飛ばす。 さらに魔力放出で超加速し背後から斬月を切り伏せようとするも、マスターのそれとは思えぬ反応速度で防がれた。 「生憎だがそれは知っている」 ジャスティスとバットマンの戦闘を見知っていた斬月はバーストを使われる寸前にメロンディフェンダーを構え地面に踏ん張っていた。 解放された法力をメロンディフェンダーが一種の光学兵器と認識し、電磁シールドを展開して衝撃の過半を殺していたのだ。 これにより吹き飛ばされながらも転倒を免れ、続く魔力放出での強襲にも辛うじて反応することができた。 聖杯戦争とは情報戦でもある。互いの手札を知っているか否かの差が徐々にジャスティスを苛みはじめていた。 全力での一手を防がれ逆に不意を突かれる形になったジャスティスの僅かな隙を見逃さず振るった無双セイバーの斬撃がついに彼女のボディを捉えた。 とはいえ、重厚な装甲を誇るジャスティスだ。魔術による強化を受けた無双セイバーが命中して尚ごく僅かな傷しかつかない。 しかし、傷は傷だ。この聖杯戦争において無敵を誇ってきたジャスティスが初めて明確な、誰の目にも明らかな大きさの傷を負った。 「…ようやく、一撃か」 斬月の仮面の下で貴虎は確かな手応えと、そして同時に改めてジャスティスの筆舌に尽くし難い強大さを認識していた。 目の前に立つアーチャーは紛れも無くトップクラスのサーヴァントだろう。全力さえ解放できれば今回の聖杯戦争でも最強ですらあるかもしれない。 だが決して無敵の存在ではない。傷を追わないわけでもなければ不死身でもない。 それでも、強大な存在であることには何ら変わりない。 事前の情報収集で見知った手札に対策として用意した魔術礼装、令呪一画を切ったブーストに敵の能力を削ぐ大魔術。 予選期間から溜めに溜めた莫大な魔力量に物を言わせた魔術による攻勢にユグドラシルの技術の粋を結集、さらに強化魔術をも重ねたアーマードライダー。 これだけの手を尽くしてようやく傷を一つ与えただけ。これが英霊か、これが聖杯戦争か。 ジャスティスもまた、敵の周到さと刻一刻と悪化する状況に危機感を募らせつつあった。 これまでのキャスターと白い戦士の対応を見る限り、最初のライダーとの戦いや怪物からみくを救った場面は間違いなく筒抜けになっている。 加えてキャスターの魔術の技量も白い戦士の粘りも相当なレベルにある。他者を容易く強化する魔術支援も相まって、白い戦士は緑の戦士とはまるで次元の違う強さだ。 とはいえ、十全な魔力供給さえ受けられれば。本来のスペックさえ発揮できれば間違いなく勝てる戦いのはずだ。 いや、勝てるという表現さえ適切ではないか。本来なら勝負すら成立させずに塵に帰せるほどのパワーが、火力がジャスティスにはある。 今のジャスティスはほとんど魔力供給を得られないばかりか、切り札の令呪による支援すら封殺されている有り様だ。 みくの詳しい容体が分からない今、迂闊に彼女から魔力を吸い上げるわけにもいかず、結果自らの保有魔力のみでの戦闘を余儀なくされている。 当然のことながら、戦闘が長引けば長引くほどジャスティスの魔力総量は目減りしていく。 つまり均衡・接戦の状況が続くほどに天秤はキャスター主従に傾いていくということだ。 最早リスクを踏まずに戦況を打開することはできないと考えるべきだろう。最強宝具は使えないまでも、いくつかの武装を限定解除して殲滅する他ない。 これまでジャスティスは徒手空拳かミカエルソードを使った近接戦闘しかしていない。この事実をこそ武器にする。 すなわち、相手は自分のクラスをセイバーと誤認している可能性が高い。その一点に賭ける。 万に一つ撃ち漏らしたとしても、隙さえ作ればアパートにいるみくを回収して離脱する目も出てくる。 決断するや魔力放出の加速で一気に距離を取り、TNT数t分の威力の爆発に相当する炸裂弾N.Bを連続で発射した。 これまでの戦い方から一転してアーチャーとしての攻撃にシフトしたのだ。敵がこちらのクラスを誤認していれば意表を突けるはずだ。 ジャスティスの期待とは裏腹にキャスターは動じた様子もなく聞き取れない発音で魔術を発動、盾とも結界とも取れる魔術障壁によって敵主従を狙ったN.Bの爆発は容易く防がれた。 コルキスの王女メディアが操る防御魔術の強度は世界最大級の英雄ヘラクレスの無敵の肉体にも匹敵する。 たかだかTNT数t分の威力ではとてもではないが突破することは叶わない。 「侮らないでほしいわね、弓兵(アーチャー)。この程度なら防ぐなど造作もないわ」 キャスターのあまりに的確な対応に射撃兵装による攻撃は読まれていたことを悟った。 とはいえ、ジャスティスとてこうなることを一切予期していなかったわけではない。 使いたくはなかったが、今の魔力で使える最大最後の火力を解き放つしかない。 ジャスティスの頭部からキャスター目掛け強烈な閃光が放たれ、展開されていた魔術障壁と衝突した。 先ほどのN.Bとは段違いの威力を誇るレーザー攻撃、インペリアルレイの光が瞬く間にキャスターの障壁に罅を入れていく。 焦りを覚えたキャスターが懸命に魔力を込めるが防ぎきれない。 (不味い……!どこにそんな魔力が残っていたというの!?) 砕かれた盾。迫り来るインペリアルレイの光条。転移魔術も間に合わない。 「やらせるものか!!」 不意に、キャスターの視界が白い背中に覆われた。 メロンディフェンダーを構えた斬月がキャスターとインペリアルレイの間に割って入ったのだった。 強力なエネルギー攻撃を検知したメロンディフェンダーが電磁シールドを展開、インペリアルレイの残滓を受け止める。 僅かな拮抗の後、急速にレーザーの勢いが弱まり、やがて完全に途絶えた。 ジャスティスの放ったインペリアルレイは元々魔力供給の不足からカタログスペック通りの威力を出しきれてはいなかった。 加え、キャスターの魔術障壁を破った代償に大幅に威力の減衰したインペリアルレイでは防がれて当然だった。 (キャスター、私が隙を作る!奴に最大火力を叩き込め!) (は、はい。わかりました) 貴虎は大技を破られた直後にあるジャスティスから感じられるプレッシャーが弱まり、動きも目に見えて鈍くなったのを鋭く察知した。 サーヴァントを存在させているのは魔力であり、魔力の著しい不足はすなわち存在そのものの劣化を引き起こすことは予選の頃にキャスターから聞かされていた。 マスターに開示されるサーヴァントのステータスとは十分な魔力を持ったピーク時のものであり、魔力が不足すれば際限なく劣化していくことも。 ならば、相手が多量の魔力を浪費した今こそが好機。反撃の時は至れりとばかりに斬月が戦極ドライバーのカッティングブレードを操作した。 『ソイヤッ!メロンスカッシュ!』 電子音声と同時、斬月が左手に保持していたメロンディフェンダーを渾身の力で投擲した。 無論、ただの投擲ではない。ロックシードのエネルギーを付与した、インベスの強固な外殻さえ破り爆散させる必殺技・メロウブラストだ。 さらにキャスターの強化魔術によって、メロンロックシードのエネルギーとメロンディフェンダー本体、そして投擲する斬月自身の膂力の全てが段違いに強化されている。 そして神秘が付与されている以上、龍玄のドラゴンショットとは違いサーヴァントを傷つけ殺傷することができる。 インペリアルレイを撃ち魔力を大量消費した直後故の僅かな硬直、そして動揺を突かれたジャスティスには回避する術がない。 せめて堅固な両腕の装甲でガードし魔力放出で弾き飛ばそうとするが――――思うように出力が上がらない。 (魔力、切れ――――――――) これまでどうにか内蔵魔力で戦ってきたジャスティスだったが、ここにきて決定的な魔力不足の状態に陥った。 魔力の切れ目はまさしく命の切れ目。ジャスティスほどの絶対的強者であろうとも、サーヴァントである限り決して逃れられない宿命だった。 著しい魔力不足の状態に立たされたことで基本ステータスそのものの低下をも引き起こしてしまっている。 しかし流石は破壊神、両腕に大きなダメージを負いながらもメロウブラストを弾いてのけた。 が、斬月からしてみれば必殺技が捌かれることなど当然予見していたことに過ぎず、故に次の一手を用意しないわけがない。 「……キャスター!」 「終わりよ、アーチャー」 宙空に浮かび上がったキャスターが描いた魔法陣から機関銃の如くしてAランク相当、あるいはそれ以上の魔力弾が掃射された。 大魔術の発動に数十秒以上の詠唱を必要とする現代魔術師が見れば卒倒しかねない光景であろう。 メロウブラストを防いだ直後では十全な回避・迎撃はままならず、総火力ならインペリアルレイにも比肩する暴力的な火力が次々とジャスティスの白亜のボディを抉り取っていく。 満身創痍になりながらも未だ膝を屈さぬのは最強のギアとしての戦闘続行能力が成せる業か。 『メロンスパーキング!』 まるでジャスティスの圧倒的タフネスを見越していたかのように、斬月が必殺技を起動。 空高く飛び上がり、ロックシードのエネルギーを脚部に集めた無刃キックを放つ。 翡翠の流星となった斬月のライダーキックに対し、咄嗟にバーストで押し返そうと試みるジャスティス。 「はああああああああああ!!」 一瞬の拮抗の後バーストは破られ、剣や鉤爪を生成できないほど損傷した両腕をクロスしガードしたが敢え無く破砕され白亜の胴体に無刃キックが直撃した。 必殺技の炸裂による爆発と共にジャスティスの巨体が吹き飛ばされ、ついに地に倒れ伏した。 「ぐぅっ……!」 必殺技を放った斬月も膝をつき、変身が解除され生身の貴虎の姿が表出した。目に見える外傷はないが、疲労から肩で荒く息をしている。 精神力で耐えぬいたとはいえ、「叛逆の王(ギルティギア)」によるプレッシャーに常時晒されていたために五分にも満たぬ戦闘の間にも急速にスタミナを消耗していたのだ。 加えてアーマーに何度か命中していたジャスティスの攻撃は容赦なく貴虎の肉体にダメージを蓄積させており、インペリアルレイを防いだ衝撃がそれをさらに後押しした。 疲労、ダメージの両方が限界に達しつつあった中での大技の連続使用は最強のアーマードライダーたる貴虎をしても負担が大きすぎた。 このため、無刃キックを撃った直後に装着者を負荷から守るためにシステムが強制的に変身を解いたのだ。 「マスター、ご無事ですか!?」 「…私なら大丈夫だ。それよりもアーチャーとマスターを捕縛しろ」 即座にキャスターが施した治癒魔術でいくらか回復した貴虎は健在をアピールし、キャスターに指示を出す。 無言で了承したキャスターは両腕を失ったジャスティスを魔術で拘束、油断なく接近していった。 「……しかし、対策を準備し圧倒的な優位を築いて二対一で仕掛けてもこれか」 改めてよく作戦が成功したものだと思う。 貴虎とキャスターは魔術で意識を奪った前川みくには目もくれずジャスティスに攻撃を集中した。 情けや甘さでマスターを狙わなかったのではない。狙うことができなかったのだ、ジャスティスがあまりにも強すぎたために。 ほんの一瞬であっても片手間に相手をしようとすれば即こちらの喉笛を噛みちぎるほど鋭利な牙を持つ強敵だ。 斬月なりキャスターなりがみくを確保しようと動けば必ずその間隙を突いて突破してくる。そういう確信を抱かせるサーヴァントだった。 だからこそ、総力を挙げてジャスティスにダメージを与え十分に弱らせておく必要があったのだ。 それとて殺すつもりでかからなければ自分たちもどうなっていたことか。 魔力が枯渇したジャスティスに攻勢をかける際、貴虎は完全にジャスティスを殺す気で攻撃していた。 実際、ジャスティスが咄嗟にガードして衝撃を殺していなければ無刃キックが霊核を傷つける可能性もないわけではなかった。 というより、普通のサーヴァントが相手なら間違いなくオーバーキルな攻撃である。 剣を交える中で生半可な気持ちで攻撃して捕縛できるような相手ではないと悟ったのだ。 殺す気で全霊の火力を叩きつけ、結果的に捕縛できた。そういう気概でなければ勝敗は逆転していたかもしれない、と貴虎は確信していた。 「もっともそれだけの力を持つサーヴァントを支配下に置けることは聖杯への大きな一歩だろうがな」 ▲ ジャスティスは自らが敗北したという事実を厳粛に受け止めていた。 地に倒れた彼女を縛る鎖は万全ならともかく今の損傷度合いと消耗では破ることは不可能だ。 そして何故敗れたのか、という事についても既に答えを得ていた。つまりはマスターの差だ。 彼我の魔力保有量の差、諜報能力や事前準備といった条件による有利不利は確かにあっただろう。 しかし何よりも明暗を分けたのはマスターの能力と決意の差があったからだ。 サーヴァントはマスターの指揮によって最大限、ないしそれ以上の力を発揮することがあるという。 自分には関わりのない話だと思っていたが、なるほどこうして結果を突きつけられれば認めざるを得ない。 前川みくは先ほど、確かにジャスティスと一個の人間、生命体として向き合う決心をし、聖杯戦争にも向き合う覚悟を固めた。 今まで現実逃避じみた行動ばかりを繰り返してきた過去を思えばそれは誰の目にも明らかな前進だった。 だが言ってしまえばその程度の決意は聖杯戦争に臨むマスターならしていて当然という程度のことでしかなく、さらに言えば今までマスターとして何もしてこなかったという事実が消えるわけではない。 前川みくは何も積んでこなかった。何もしていなかった。ましてや特別な技能もない。 そんな小娘の決意一つが呉島貴虎の積み上げた覚悟に、研鑽に、準備に届くはずがない。 戦う前から、ジャスティスという圧倒的個の戦術的優位でさえ覆せないほどの戦略的敗北を喫していた。 ならばこそこの結果は必定ではあった。 「無様ね、アーチャー」 勝ち誇った様子でキャスターがジャスティスを見下ろす。みくはキャスターの腕の中にあり、趨勢を見せつけるかのようでもあった。 もう何をしても状況一つ動かせない瀕死、消滅寸前の重体だ。ならばキャスターの態度は油断でも驕慢でもなく勝者の余裕と形容すべきものだ。 何ならとどめを刺されずとも半日も経てば魔力枯渇で消えるような状態だ。わざわざ無駄な手間をかけて殺しにきたか、と考える。 「言い訳や命乞いをするつもりはない。殺せ」 「早合点が過ぎるというものよ。貴女にはこれから存分に役立ってもらうのですからね」 「……何?」 不意に、悪寒を覚えた。何か取り返しのつかない事態になる予感がする。 ジャスティスの思考を裏付けるかのようにキャスターが一本の歪な形状のナイフを実体化させた。 格こそ高くはないが見間違えようもない。この短剣こそがキャスターの宝具だ。 「破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」 真名を解放。突き立てられた宝具。 マスターとサーヴァントを繋ぐ術式が、契約が根本から覆されていく苦痛がジャスティスを襲う。 「ぐ、がぁあああああ――――――――!!!」 悶えながら、ジャスティスはマスターとサーヴァントの契約権たる令呪がみくの手から消え、あろうことかキャスターに移る様を見た。 キャスターは契約の移行が済んだことを確認すると令呪を移植した左腕を掲げた。 「令呪を以って命じます。以後私と私のマスターに従いなさい、アーチャー。 重ねて第二の令呪を以って命じます。私と私のマスターに対し害をなす、ないし不利益を齎す言動、行動の一切を永久に禁じます。 害、不利益を齎すとは知ることを話さない、翻意を隠す、嘘をつくといった行動全てを含みます」 莫大な魔力がジャスティスに供給されると同時に、二画の令呪の強制が働いた。 一般的にサーヴァントの意に反する令呪行使は対魔力次第で効果が減少、場合によって無効化される、また曖昧で長期的な命令ほど効果が薄くなるとされている。 だがそういったセオリーが適用されるのは近現代の魔術師であり、例外というものは常に存在する。 根源と共に在った神代に生きた魔術師にしてキャスタークラスに該当する英霊でもトップクラスに位置する王女メディアにそのような原則は通用しない。 何故なら令呪の効力とは使用者の魔術の力量次第で増減するからだ。 キャスターが発した令呪ならランクBの対魔力を持つジャスティスにすら一切の反抗を許さない埒外の効果を発揮する。 「…反則技だな、キャスター。サーヴァントがサーヴァントを使役しようというのか」 「あら、魔術師がサーヴァントを従えることに何の不都合があって? このお嬢さんのような魔術回路も持たぬ人間がマスターであるよりよほど理に適っているでしょうに」 「ならば、何故マスターを生かす?」 ジャスティスはキャスターが未だみくを殺さぬことに疑念を覚えていた。 キャスターによって令呪に酷似した何かを移植されたせいなのか、サーヴァントと令呪の両方を失ったにも関わらず消滅する兆候が見られない。 いや、よくよくレイラインを感じ取ってみればみくとの魔力供給のラインは残っている。 何にせよ上手い手だ、と敵ながら感心するしかない。 みくを殺したなら、彼女の命が既に失われたなら令呪の束縛があろうと思いきり抵抗しようという気にもなれた。 何もできず殺されるのだとしても、奴らに痛手や出血を強いることはできる。 しかしこうして人質に取られてしまっては令呪に関係なく迂闊な真似をすることができない。 なまじみくが無事であるという事実がジャスティスを縛る第三の鎖になっている。 「それは私が答えよう。…が、今は場所が悪い。 すぐに引き上げるぞ、キャスター。光実に感づかれてはいないか?」 「今しがた足止めに差し向けた竜牙兵が殲滅されたところです。 それから擬似令呪の移植は滞り無く済みました。ですが何時聖杯に感づかれ干渉されないとも限りません。まだ予断の許されない状況かと」 「わかった、引き続き経過の観察に努めてくれ。 撤収するぞ、長くこの場に留まるわけにもいかないからな」 キャスターが恭しく頭を垂れ従うと、魔術によって四人の姿は余人から隠蔽された。 後には半壊したアパートやコンクリートを抉られた路地だけが残った。 「Blitz Action(後編)」に続く